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ホームヘルパーという言葉は、今では知らない人はいないと思います。介護と言えばホームヘルパーを思い出すほどです。ではホームヘルパーとは具体的にどういう職種なのでしょうか。
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介護の仕事は増えるが、介護の仕事に着く人が増えず、今後問題が大きくなっていくと思われる

ハードルを下げて介護の仕事につきやすくする必要性から、準介護福祉士が創設される事になりそうだ


 
 介護の現場では、高齢者への虐待などの人権侵害問題、外国人介護士の受け入れ問題など注目をあびているが、これも慢性的人手不足が原因といえる。介護職の離職率は、就職して1年以内に35%、3年以内に8割と他産業に比べても高い率である。特に訪問介護などの在宅サービスは施設サービスに比べ常勤職雇用は40%も低い47%と、非常勤が主要戦力となっている。訪問介護サービスは、小規模事業所が多くそのため福利厚生や賃金水準も低い状況で、魅力のある職場となっていない現状である。

 しかしながら、介護職の需要は高齢化とともに一層高まり、さらにはコミュニケーション能力や利用者本位の尊厳を支えるケアなどの介護技術の質の向上要求はますます高まっていきている。そんな中、介護福祉士制度の見直しが社会保障審議会で議論され今後のあり方が昨年12月にまとめられた。今国会(第166国会)に提出された「社会福祉士及び介護福祉法等の一部を改正する法律」案はそれをうけた改正である。

 しかし、社会保障審議会で意見もでなかった「准介護福祉士」なるものが突然、法案の中にお目見えした。そのため、現場サイドをはじめ国会の中でも疑問や反対の声があがってきている。

 介護福祉士の資格取得には、介護養成学校(2~4年過程・2006年現在409校)を卒業して資格を得るか、福祉系高校を卒業するか(1190時間)実務経験3年以上で国家試験の受験資格を得るかの3通りがある。国家試験の合格比率は、ここ数年40%台を推移している。

 現在、介護福祉士の全国登録者数は、約54.8万人(2006年9月現在・18年度資格取得者は約8万人で合格率47%)、うち国家試験の合格者は63%である。実際の介護現場では、76万人(介護福祉士の数がわかる施設・事業の合計では69万人、)の介護職員(常勤換算)が働いているといわれているが、そのうち約29%の19.9万人が介護福祉士資格者である。資格取得者の36%しか実際に働いていないのである。(参考:社会保障審議会―福祉部会 2006年9月20日開催資料から)

 今回の改正法案のポイントは、(1)介護福祉士の定義の見直し、(2)義務規定の見直し、(3)資格取得方法の見直しの3点である。定義は、現行の「入浴、排泄、食事その他の介護等を行う」を「心身の状況に応じた介護等を行う」ことを業とするに見直された。(2)は、「個人の尊厳の保持」「自立支援」「認知症等の心身の状況に応じた介護」「他のサービス関係者との連携」「資格取得後の自己研鑽」等を新たに規定している。(3)では、介護福祉士の質の向上を図るために教育内容の充実と全ての養成者に国家試験を2012年度から課すことになっている。

 全ての人が国家試験合格者であることは、介護職の専門性や社会的地位の向上のためには、評価すべきことといえる。しかし、一方で、養成施設を卒業したが介護福祉士でない人(国家試験に失敗した人や受験しない人)を「准介護福祉士」として規定されている。法改正後のフィリピン人介護士(フィリピンとのFTA(2国間経済連携協定)で浮上した「外国人介護労働者」)の受け入れのための政治的判断や介護現場の人材不足のための経過措置といわれているが、首をかしげざるを得ない。

 参議院の厚生労働委員会でも、創設理由がフィリピン人介護士対応から養成施設卒業者への激変緩和にすり替わっているとの指摘や疑問の意見がだされたと言う。(社)日本介護福祉士会は、3月24日に介護現場に混乱を招き、資格の社会的評価を下げることになるとの懸念から「准介護士」の導入をすべきでないと要望書を厚生労働省に提出している。また、福祉新聞社が養成施設校の経営者・教員等へ行った緊急アンケートでは、539人の回答者のうち、賛成が98人、反対377人、その他64人と反対の意見が多く、特に教員の反対意見の割合が高くなっている。(参考:「准介護福祉士に関する調査結果の概要」PDF:284KB 福祉新聞)

 介護保険法改正時に、参議院厚生労働委員会では、「介護需要が高まる中で、優秀な人材確保のために、介護労働者の雇用管理や労働条件の改善、研修体験や資格のあり方の見直しに取り組むこと。直行直帰型のホームヘルパー及びグループホームの夜勤についても労働実態を把握し改善を図ること」の付帯決議が採択されている。そのことを考えると、今回の見直しに関しては、介護職員の確保・定着をめざし生涯を通じた能力開発と魅力ある職場づくりについて社会保障審議会においても議論を重ねられてきている。

 国家試験合格者というハードルを越えての介護福祉士である。「准介護福祉士」の創設が、職場での介護福祉士とのあらたな差別を生じるようになること、社会的評価を低下するようであってはいけない。まずは、介護職の高い社会的評価を獲得すべきである。国家資格取得者としての賃金等の諸待遇のアップなどの労働条件の改善に取り掛かることが先決である。小規模事業所への公的研修制度なども必要である。地域社会での高齢者や障害のある人たちの自立的な生活を支える専門職として働ける魅力的な職場にすることである。

 参議院での審議も始まるようだが、拙速な結論をだすのではなく、現場の声に耳を傾けて欲しいものである。

※介護福祉士の定義:
「社会福祉士及び介護福祉士法」による国家資格で、「専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障があるものについて並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者」

 JANJAN
 

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